循環器
体液を全身に循環させる器官
酸素や栄養素の運搬
老廃物の回収
心臓・血管系・リンパ系からなる
血管系
血液を循環させる
動脈・静脈・毛細血管からなる
血液の循環
左心室→動脈→細動脈→毛細血管→細静脈→静脈→右心房→右心室→肺動脈→肺→肺静脈→左心房の順に循環している
体循環
- 循環時間約20秒
- 左心室から右心房までの回路
- 心臓から全身に血液を供給する
- 左心室から動脈血を全身の組織に送り静脈血を右心房に返す
- 体循環で細胞にO2を渡しCO2を受け取る(内呼吸)
肺循環
- 循環時間約4秒
- 右心室から左心房までの回路
- 心臓から肺に血液を送る
- 右心室から静脈血を肺に送り動脈血となって左心房に返る
- 肺では呼吸運動によってCO2を排出しO2を取り入れる(外呼吸)
- 動脈血はO2多く含む血液
- 静脈血はO2が少なくCO2を多く含む血液
- 全身からCO2を回収した肺動脈にはO2が少ない静脈血が流れる
- 肺でO2を受け取った肺静脈はO2を多く含む動脈血が流れる
血管の種類
動脈(血液量分布20%)
静脈(血液量分布75%)
毛細血管(血液量分布5%)
動脈系
大動脈・動脈・細動脈
心臓から拍出される血液を末梢に送り出す
動脈の構造
動脈壁は内膜・中膜・外膜で構成
静脈より血管平滑筋が多く厚みがある
内膜…血管内皮細胞
中膜…血管平滑筋細胞・弾性線維
外膜…結合組織
動脈の特徴
- 動脈は細くなるほど弾性線維が少なくなり平滑筋細胞が多くなる
- 大動脈では心筋収縮による高い圧に対応するため弾性線維が多い(弾性血管)
- 細動脈では心臓からの圧力に抵抗して血液量を調整するため平滑筋が多い(抵抗血管)
- 細動脈は交感神経支配を受けており血圧に最も影響を与える部位である
静脈系
大静脈・静脈・細静脈
末梢から心臓に血液が戻る
静脈の構造
静脈壁は内膜・中膜・外膜で構成
動脈に比べて薄く伸展しやすい
血液の逆流を防ぐため内壁に弁が存在する
内膜…血管内皮細胞
中膜…血管平滑筋細胞・弾性線維
外膜…結合組織
静脈の特徴
- 心筋収縮による高い圧を受けることがないため平滑筋や弾性線維が少ない
- 静脈は全身の血液を大量に貯留する(容量血管)
静脈の血流
- 動脈では心筋収縮によって血流が促される
- 静脈では胸郭内や右心房が陰圧になることで心臓まで血液が運ばれる
- 骨格筋が収縮して筋ポンプの役割を果たし血流を押し流す
- 手足の末梢部には多くの静脈弁が作られ静脈血の逆流を防ぐ
- 静脈弁が開閉することで血液の還流をさらに促し心臓へと運ぶ
毛細血管
細動脈と細静脈をつなぐ
各組織内で網目状の毛細血管網を形成
各組織にO2や栄養素を供給しCO2や代謝物を回収する
薬物の組織移行も主に毛細血管を介して行われる
毛細血管の構造
単層の血管内皮細胞と周皮細胞で構成
内皮細胞の配列で連続性・有窓性・非連続性に分類
毛細血管の構造の違いは薬物分布にも影響を与える
連続性毛細血管
- 最も一般的な毛細血管壁構造
- 内皮細胞が密着し連続して配列
- 水溶性低分子は細胞間隙を透過する
- 脂溶性低分子は内皮細胞の細胞膜に溶け込み血管壁を透過する
- 高分子物質は血管外に移行できない
- 筋・皮膚・肺・脳・皮下組織・粘膜組織・外分泌腺などに存在
有窓性毛細血管
- 内皮細胞は比較的密着して配列
- 内皮細胞が薄い部分は細胞質を貫いて多数の窓構造が形成される
- 水溶性低分子は細胞間隙や窓構造を透過する
- 脂溶性低分子は窓構造や内皮細胞の細胞膜に溶け込み血管壁を透過する
- 高分子物質は血管外に移行できない
- 組織と血液間での迅速な物質交換を必要とする臓器でみられる
- 腎臓(糸球体)・腸管・内分泌腺などに存在
非連続性毛細血管
- 内皮細胞間の結合は緩く開口部が存在
- 内皮細胞が薄いため内腔が広い
- 水溶性低分子も脂溶性低分子も透過しやすい
- 広い細胞間隙のため高分子物質でも容易に血管外へ移行できる
- 広い内腔のため血流が遅く物質交換が盛んな臓器にみられる
- 肝臓・脾臓・骨髄・一部の内分泌器官に存在する
- 肝臓や骨髄に存在する類洞毛細血管はこの型に分類される
毛細血管の特徴
血管同士が相互に連絡をもつ吻合が形成されている
吻合により相互に網目状に連絡しているため一部に血流障害があっても他から側副血行路を介して血流が保たれる
終動脈
- 毛細血管に移行する細動脈のうち他の動脈との吻合のないもの
- 閉塞するとその先の細胞への血流が不足し組織が変性・壊死に至る
- 終動脈は脳・肺・肝臓・心臓・脾臓などにみられる
- 脳内血管の毛細血管が閉塞すると脳梗塞を起こす
- 心臓を養う冠状動脈が閉塞すると心筋梗塞の原因となる
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