循環器

血管系②|血管の収縮・弛緩についてのまとめ

血管の収縮・弛緩

血管径の調節は血管平滑筋が担う

血管平滑筋が収縮すると血管内径は狭くなる
血管平滑筋が弛緩すると血管内径は広くなる

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今回は血管の収縮と弛緩についてのまとめです。血液循環や動脈・静脈・毛細血管について確認したい場合は血管系①を参考にして下さい。

血管平滑筋の収縮

平滑筋収縮は細胞内Ca2+濃度上昇によりおこる

  1. 電位依存性L型Ca2+チャネルを介した細胞外からのCa2+流入
  2. Gqタンパク質共役型受容体を介した筋小胞体からのCa2+放出

平滑筋は筋小胞体の発達が未熟のため収縮を起こす細胞内Ca2+濃度の増加は、主に電位依存性L型Ca2+チャネルを介した細胞外からのCa2+流入によるとされる

①電位依存性L型Ca2+チャネルを介した細胞内Ca2+濃度上昇

活動電位発生
活動電位伝播
 ↓
平滑筋細胞の脱分極
 ↓
電位依存性L型Ca2+チャネル開口
Ca2+が細胞内へ流入
 ↓
細胞内Ca2+濃度上昇

②Gqタンパク質共役型受容体を介した細胞内Ca2+濃度上昇

平滑筋細胞のGqタンパク質共役型受容体に結合
アドレナリンα1受容体
ムスカリンM3受容体
 ↓
ホスホリパーゼC(PLC)活性化
 ↓
PLCによるホスファチジルイノシトール4,5二リン酸の加水分解
イノシトール三リン酸(IP3)とジアシルグリセロールが生成
 ↓
IP3が筋小胞体のIP3受容体に結合
筋小胞体Ca2+チャンネルが開口
 ↓
筋小胞体に貯留されていたCa2+が放出
 ↓
細胞内Ca2+濃度上昇

Ca2+による平滑筋収縮機構

細胞内Ca2+濃度上昇
Ca2+はカルモデュリンと反応してCa2+-カルモデュリン複合体(CaM)形成
 ↓
CaMはミオシン軽鎖キナーゼ(MLCK)を活性化
 ↓
活性化MLCKはミオシン頭部に含まれるミオシン軽鎖をリン酸化
ミオシン軽鎖リン酸化によりミオシンATPaseが活性化
アクチンがミオシンの上を滑走
 ↓
平滑筋収縮

平滑筋の弛緩

  1. 細胞内Ca2+濃度低下による収縮刺激の低下
  2. 平滑筋弛緩因子によるcAMP濃度上昇
  3. 平滑筋弛緩因子によるcGMP濃度上昇

①細胞内Ca2+濃度低下

細胞膜Ca2+ポンプによる細胞外への放出
Na+-Ca2+交換体による細胞外への放出
筋小胞体Ca2+ポンプによる筋小胞体への流入
 ↓
細胞内Ca2+濃度低下
 ↓
カルモジュリンの活性化抑制
 ↓
MLCKの活性化も抑制
 ↓
ミオシン軽鎖のリン酸化が起こらず平滑筋は弛緩する

②cAMP濃度上昇

Gsタンパク質共役型受容体に情報伝達物質が結合
 ↓
アデニル酸シクラーゼ活性化
 ↓
活性化アデニル酸シクラーゼによりATPからcAMPの産生促進
 ↓
cAMPはプロテインキナーゼA(PKA)を活性化
 ↓
PKAは不活性化状態のMLCKをリン酸化
リン酸化されたMLCKは活性化されずミオシン軽鎖のリン酸化が起きない
 ↓
アクチンとミオシンの滑走が起こらず平滑筋は弛緩

この場合MLCKがリン酸化されて活性化できないため細胞内Ca2+濃度が高くても平滑筋は収縮しない

③cGMP濃度上昇

一酸化窒素(NO)の細胞内流入
 ↓
グアニル酸シクラーゼ(GC)活性化
 ↓
活性化GCによりGTPからcGMPの産生促進
 ↓
cGMPはミオシン軽鎖ホスファターゼ(MLCP)の活性化促進
 ↓
MLAPによりミオシン軽鎖の脱リン酸化促進
 ↓
アクチンとミオシンの滑走が起こらず平滑筋は弛緩

グアニル酸シクラーゼ

  • グアニル酸シクラーゼには細胞膜受容体と細胞質に存在する可溶型が存在
  • 細胞膜受容体型はリガンドが受容体に結合することで活性化
  • 可溶型は細胞内に流入した一酸化窒素(NO)によって活性化
  • NOは血管内皮細胞より産生される生理活性物質
  • 血管において血管平滑筋細胞を弛緩し血管拡張に働く

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