交感神経抑制薬
α受容体やβ受容体にアンタゴニストとして作用する
循環器では
血圧低下目的でα1受容体遮断薬
心機能抑制目的でβ遮断薬
を用いる
β受容体遮断薬
β受容体を遮断する
非選択的β受容体遮断薬は
β1・β2受容体の両方を非選択的に遮断する
選択的β1受容体遮断薬は
β1受容体を選択的に遮断する
非選択的はβ2遮断による気管支収縮に注意
β1受容体遮断作用
■心臓
心機能抑制
■腎臓の傍糸球体細胞
レニン分泌抑制
β2受容体遮断作用
■平滑筋
血管平滑筋収縮
気管支平滑筋収縮
子宮平滑筋収縮
■肝臓の肝細胞
グリコーゲン分解抑制
■膵臓のB細胞
インスリン分泌抑制
■骨格筋
振戦抑制
内因性交感神経刺激作用(ISA)
β受容体を弱いながらも刺激する作用
弱いβ刺激により心機能に対する作用が緩和になる
⚫︎カルテオロール(ミケラン)
⚫︎セリプロロール(セレクトール)
⚫︎ラベタロール(トランデート) など
膜安定化作用(MSA)
細胞膜のNa+チャネル遮断作用
細胞内外の電位変化を抑制する
刺激伝導の興奮を抑制する抗不整脈薬様作用
⚫︎プロプラノロール(インデラル)
⚫︎メトプロロール(セロケン)
⚫︎ラベタロール(トランデート) など
β遮断薬の作用機序
心臓β1受容体に対する作用
■心臓のβ1受容体遮断
→Gsタンパク質を介するcAMPの産生抑制
→細胞内Ca2+の濃度低下
→心筋収縮力の低下
刺激伝導系の興奮低下
洞結節自動能低下による心拍数低下
房室結節興奮伝導抑制による伝導速度低下
→心機能抑制
腎臓β1受容体に対する作用
■腎臓のβ1受容体遮断
→レニン分泌抑制
→アンジオテンシンⅡ産生抑制
→血管拡張による末梢血管抵抗低下
アルドステロン分泌低下による体液量低下
→血圧低下
β遮断薬の薬理作用
■降圧作用
■抗不整脈作用
■抗狭心症作用
■心不全に対する作用
■その他の使用
降圧作用
■心臓のβ1受容体遮断
→心機能抑制
→心筋収縮力低下・心拍数低下
→血圧低下
■腎臓のβ1受容体遮断
→レニン分泌抑制
→アンジオテンシンⅡ産生抑制
→血管拡張・アルドステロン分泌低下
→血圧低下
抗不整脈作用
■心臓のβ1受容体遮断
→心機能抑制
→刺激伝導系の興奮低下
→洞結節の自動能低下
房室結節の興奮伝導低下
→抗不整脈作用
抗狭心症作用
■心臓のβ1受容体遮断
→心機能抑制
→心筋収縮力低下・心拍数低下
→心筋のO2需要低下
→抗狭心症作用
発作の予防に有効
冠攣縮性狭心症に単独投与はさける
→β2遮断で冠動脈拡張が抑制
冠攣縮悪化のおそれ
心不全に対する作用
■心臓のβ1受容体遮断
→心機能抑制
→心筋のO2需要低下
→心臓への負荷軽減
■腎臓のβ1受容体遮断
→レニン分泌抑制
→血圧低下
→心臓への負荷軽減
心筋リモデリング抑制作用も有する
心筋収縮力低下のため重症心不全には使用できない
その他の使用
本態性振戦
偏頭痛の予防
甲状腺機能亢進時の頻脈・振戦の抑制
β遮断薬の禁忌
⚫︎本剤成分に対する過敏症の既往歴
⚫︎β1遮断心機能抑制に対する禁忌
・高度の徐脈・洞不全症候群
・Ⅱ〜Ⅲ度の房室ブロック・洞房ブロック
・心原性ショック
・うっ血性心不全
・肺高血圧による右心不全
・低血圧症
⚫︎β2遮断冠動脈拡張抑制に対する禁忌
・異型狭心症
選択性β1遮断薬は慎重投与
⚫︎β2遮断末梢血管収縮に対する禁忌
・気管支喘息・気管支痙攣
選択性β1遮断薬は慎重投与
・重度の末梢循環障害
⚫︎β2遮断子宮平滑筋収縮に対する禁忌
・妊婦
アテノロールは禁忌の記載なし
⚫︎その他
・糖尿病性ケトアシドーシス・代謝性アシドーシス
pH低下で心筋収縮力抑制作用を増強のおそれ
・未治療の褐色細胞腫
β遮断薬によりα作用が強まり血圧上昇のおそれ
必要時はα遮断薬を前投与し以後も必ず併用
β遮断薬の副作用
⚫︎β1遮断心機能抑制に対する副作用
・徐脈
・心不全の誘発・増悪
⚫︎β2遮断気管支平滑筋収縮に対する副作用
特に非選択性は注意
・喘息様症状
・呼吸困難
⚫︎中枢神経系副作用
・眠気・不眠・悪夢・睡眠障害
・幻覚・抑うつ
・勃起障害
脂溶性は中枢へ移行するため注意
プロプラノロール(インデラル)
メトプロロール(セロケン・ロプレソール)
⚫︎その他
・肝機能障害など
非選択的β受容体遮断薬
β1・β2受容体の両方を非選択的に遮断する
■心臓のβ1受容体遮断
→心機能抑制
■気管支のβ2受容体遮断
→気管支平滑筋収縮
■骨格筋のβ2受容体遮断
→振戦抑制
■毛様体のβ受容体遮断
→房水産生抑制
→眼圧低下
◯使用上の注意(共通)
⚫︎長期投与時
定期的な心機能検査
徐脈・低血圧に注意
肝機能・腎機能・血液像に注意
⚫︎連用時は急に中止しないで徐々に減量
症状悪化のおそれ
急性心筋梗塞を起こした報告もあり
⚫︎低血糖・糖尿病・長時間の絶食時
血糖値に注意
頻脈など交感神経系反応の低血糖前駆症状を
交感神経抑制作用によりマスクするおそれ
⚫︎甲状腺中毒症
β1遮断作用により中毒症状マスクのおそれ
急な中止で症状悪化のおそれ
徐々に減量すること
⚫︎手術前24時間は投与しないことが望ましい
プロプラノロール(インデラル)
ニプラジロール(ハイパジール)
ブフェトロール(アドビオール)
カルテオロール(ミケラン)
ピンドロール(カルビスケン)
⚫︎手術前48時間は投与しないことが望ましい
ブフェトロール(ナディック)
◯適応上の注意(共通)
⚫︎β遮断薬服用中
他剤によるアナフィラキシーが重篤になりやすい
通常用量のADによる治療に抵抗する報告もあり
◯妊婦・授乳婦(共通)
⚫︎妊婦は禁忌
⚫︎授乳を避ける
◯服薬指導(共通)
⚫︎自己判断で中止しない
⚫︎車の運転・機械操作注意
血圧低下でめまいのおそれ
β1β2遮断・ISA-
プロプラノロール塩酸塩
(インデラル錠・注)
MSA作用あり
脂溶性のため中枢性副作用に注意
◯適応
⚫︎高血圧症
⚫︎不整脈
⚫︎狭心症
⚫︎偏頭痛の発作予防(内服のみ)
◯禁忌
⚫︎長期間絶食状態
低血糖症状を起こしやすい
低血糖症状をマスクして発見を遅れるおそれ
◯併用禁忌
⚫︎リザトリプタン(マクサルト)
併用薬の作用増強のおそれ
リザトリプタンの代謝阻害の可能性
本剤中止後24時間以内はリザトリプタン投与✖️
ニプラジロール
(ハイパジール錠・点眼)
ニトロ基があるためNOによる血管拡張作用を有する
◯適応
⚫︎高血圧症
⚫︎狭心症
⚫︎緑内障・高眼圧症(点眼)
◯禁忌
⚫︎PDE5阻害薬
本剤のNOによりcGMP産生促進
PDE5阻害によりcGMP分解抑制
cGMP増大を介して降圧作用増強のおそれ
⚫︎リグシオアト(アダムパス)
本剤も併用薬もcGMP産生促進
cGMP増大を介して降圧作用増強のおそれ
ナドロール
(ナディック錠)
◯適応
⚫︎高血圧症
⚫︎不整脈
⚫︎狭心症
◯禁忌
⚫︎慢性閉塞性肺疾患
ブフェトロール塩酸塩
(アドビオール錠)
◯適応
⚫︎不整脈
⚫︎狭心症
β1β2遮断・ISA+
カルテオロール塩酸塩
(ミケラン錠・LAcap・細・点眼)
◯適応
⚫︎高血圧症(細は未承認)
⚫︎不整脈(LAcapは未承認)
⚫︎狭心症(LAcapは未承認)
⚫︎ファロー四徴症に伴うチアノーゼ発作(小細のみ)
⚫︎緑内障・高眼圧症(点眼)
ピンドロール
(カルビスケン錠)
◯適応
⚫︎高血圧症
⚫︎不整脈
⚫︎狭心症
チモロールマレイン酸塩
(チモプトール点眼 リズモン点眼)
緑内障・高眼圧症で使用される
選択的β1受容体遮断薬
β1受容体を選択的に遮断する
β2遮断による気管支への影響が少ない
■心臓のβ1受容体遮断
→心機能抑制
◯使用上の注意(共通)
⚫︎長期投与時
定期的な心機能検査
徐脈・低血圧に注意
肝機能・腎機能・血液像に注意
⚫︎連用時は急に中止しないで徐々に減量
症状悪化のおそれ
急性心筋梗塞を起こした報告もあり
⚫︎低血糖・糖尿病・長時間の絶食時
血糖値に注意
頻脈など交感神経系反応の低血糖前駆症状を
交感神経抑制作用によりマスクするおそれ
⚫︎甲状腺中毒症
β1遮断作用により中毒症状マスクのおそれ
急な中止で症状悪化のおそれ
徐々に減量すること
⚫︎手術前24時間は投与しないことが望ましい
メトプロロール(セロケン・ロプレソール)
⚫︎手術前48時間は投与しないことが望ましい
アテノロール(テノーミン)
ビソプロロール(メインテート・ビソノテープ)
メトプロロール徐(セロケンL・ロプレソールSR)
ベタキソロール(ケルロング)
セリプロロール(セレクトール)
◯適応上の注意(共通)
⚫︎β遮断薬服用中
他剤によるアナフィラキシーが重篤になりやすい
通常用量のADによる治療に抵抗する報告もあり
◯妊婦・授乳婦(共通)
⚫︎妊婦は禁忌
アテノロールは禁忌の記載なし
⚫︎授乳を避ける
◯服薬指導(共通)
⚫︎自己判断で中止しない
⚫︎車の運転・機械操作注意
血圧低下でめまいのおそれ
β1遮断・ISA-
アテノロール
(テノーミン錠)
◯適応
⚫︎高血圧症
⚫︎不整脈
⚫︎狭心症
ビソプロロールフマル酸塩
(メインテート錠)
◯適応
⚫︎高血圧症
⚫︎不整脈
⚫︎狭心症
⚫︎慢性心不全
◯警告
⚫︎慢性心不全使用時に対する警告あり
◯禁忌
⚫︎強心薬・血管拡張薬の静注が必要な心不全
⚫︎非代償性心不全
ビソプロロール
(ビソノテープ)
◯適応
⚫︎高血圧症
⚫︎不整脈
◯禁忌
⚫︎強心薬・血管拡張薬の静注が必要な心不全
⚫︎非代償性心不全
◯使用上の注意
⚫︎テープ剤による皮膚症状を起こすおそれ
貼付部位を毎回変更すること
メトプロロール酒石酸塩
(セロケン錠・L錠)
(ロプレソール錠・SR錠)
MSA作用あり
脂溶性のため中枢性副作用に注意
◯適応
⚫︎高血圧症
⚫︎不整脈(徐放錠は未承認)
⚫︎狭心症(徐放錠は未承認)
ベタキソロール塩酸塩
(ケルロング錠)
◯適応
⚫︎高血圧症
⚫︎狭心症
ランジオロール塩酸塩
(オノアクト注)
短時間作用型で手術時の上室性不整脈の緊急処置に使用される
β1遮断・ISA+
セリプロロール塩酸塩
(セレクトール錠)
◯適応
⚫︎高血圧症
⚫︎狭心症
エスモロール塩酸塩
(ブレビブロック注)
短時間作用型で手術時の上室性不整脈の緊急処置に使用される
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