ジヒドロピリジン系Ca拮抗薬
◆末梢血管拡張作用が強い
◆心筋抑制作用は弱い
◆高血圧症・狭心症に用いられる
◆反射性頻脈に注意
レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(RAA系)について確認したい場合はRAA系阻害薬①を参考にして下さい。
◯適応(共通)
⚫︎高血圧症
⚫︎狭心症
◯禁忌(共通)
⚫︎本剤成分に対する過敏症の既往歴
⚫︎妊婦・妊娠の可能性
◯相互作用(共通)
Ca拮抗薬は主にCYP3A4で代謝される
⚫︎グレープフルーツジュース(GFJ)
GFJにはフラノクマリン系化合物が含まれ、
CYP3A4阻害作用がある
併用でCa拮抗薬の代謝が抑制
血中濃度上昇による作用増強のおそれ
特に血圧の過度な低下に注意
◯副作用(共通)
⚫︎血圧低下による副作用
めまい・ふらつき・動悸・頻脈
⚫︎血管拡張による副作用
顔面紅潮・頭痛・浮腫
⚫︎その他の副作用
便秘・歯肉増殖・肝機能障害 など
◯使用上の注意(共通)
⚫︎連用中は勝手に中止しない
→急な中止で症状が悪化の報告あり
⚫︎車の運転・高所作業注意
→血圧低下でめまいのおそれ
反射性頻脈
急激な血圧低下により反射的に交感神経亢進
NA放出により頻脈となる
長時間作用型
アゼルニジピン
●アゼルニジピン
(カルブロック錠)
CYP3A4阻害薬の併用禁忌あり
T型にも作用
→反射性頻脈のリスク軽減
→腎保護作用
◯適応
⚫︎高血圧症
◯併用禁忌
⚫︎アゾール系抗真菌薬
⚫︎HIVプロテアーゼ阻害薬
⚫︎コビシスタット含有製剤
アゼルニジピンはCYP3A4基質薬のため
CYP3A4阻害薬との併用で作用増強のおそれ
◯その他
⚫︎CAPDの透析排液が白濁
腹膜炎との識別に留意
アムロジピンベシル酸塩
●アムロジピンベシル酸塩
(アムロジン錠・OD錠 ノルバスク錠・OD錠)
◯適応
⚫︎高血圧症
⚫︎狭心症
アラニジピン
●アラニジピン
(サプレスタcap・細粒 ベックcap・細粒)
◯適応
⚫︎高血圧症
◯調剤時の注意
⚫︎光に不安定
調剤時にはできるだけ光にあてない
エホニジピン塩酸塩
●エホニジピン塩酸塩
(ランデル錠)
T型にも作用
→反射性頻脈のリスク軽減
→腎保護作用
◯適応
⚫︎高血圧症
⚫︎狭心症
◯その他
⚫︎CAPDの透析排液が白濁
腹膜炎との識別に留意
シルニジピン
●シルニジピン
(アテレック錠)
N型にも作用
→反射性頻脈のリスク軽減
→腎保護作用
◯適応
⚫︎高血圧症
◯保存
⚫︎開封後は遮光保存
ニトレンジピン
●ニトレンジピン
(バイロテンシン錠)
◯適応
⚫︎高血圧症
⚫︎狭心症
◯調剤の注意
⚫︎一包化不可
光を避けるためPTPシートのまま保存
バルニジピン塩酸塩
●バルニジピン塩酸塩
(ヒポカcap)
◯適応
⚫︎高血圧症
◯服薬指導
⚫︎噛み砕かない・脱カプしない
体内動態変化のおそれ
フェロジピン
●フェロジピン
(スプレンジール錠)
◯適応
⚫︎高血圧症
◯禁忌
⚫︎心原性ショック
ベニジピン塩酸塩
●ベニジピン塩酸塩
(コニール錠)
T型・N型にも作用
→反射性頻脈のリスク軽減
→腎保護作用
◯適応
⚫︎高血圧症
⚫︎狭心症
◯その他
⚫︎CAPDの透析排液が白濁
腹膜炎との識別に留意
マニジピン塩酸塩
●マニジピン塩酸塩
(カルスロット錠)
◯適応
⚫︎高血圧症
◯保存
⚫︎開封後は遮光保存
◯その他
⚫︎CAPDの透析排液が白濁
腹膜炎との識別に留意
中間型
ニルバジピン
●ニルバジピン
(ニバジール錠)
T型にも作用
→反射性頻脈のリスク軽減
→腎保護作用
◯適応
⚫︎高血圧症
◯禁忌
⚫︎頭蓋内出血後の止血が未完成時
⚫︎脳卒中急性期で頭蓋内圧亢進時
短時間型
ニカルジピン塩酸塩
●ニカルジピン塩酸塩
(ペルジピン錠・LAcap・散)
◯適応
⚫︎高血圧症
◯禁忌
⚫︎頭蓋内出血後の止血が未完成時
⚫︎脳卒中急性期で頭蓋内圧亢進時
◯保存
⚫︎散剤は光で分解のため遮光保存
●ニカルジピン塩酸塩
(ペルジピン注)
◯適応
⚫︎手術時の異常高血圧の救急処置
⚫︎高血圧性緊急症
⚫︎急性心不全
◯警告
⚫︎脳出血急性期・脳卒中急性期で頭蓋内圧亢進時
緊急対応が可能な医療施設において使用する
血圧等を十分にモニタリングしながら投与する
◯禁忌
⚫︎急性心不全へ投与時
発症直後の重篤な急性心筋梗塞
高度大動脈弁狭窄
高度僧帽弁狭窄
肥大型閉塞性心筋症
低血圧(収縮期血圧90mmHg未満)
心原性ショック
⚫︎妊婦へ禁忌の記載はなし
ニフェジピン
●ニフェジピン
(アダラートCR錠)
◯適応
⚫︎高血圧症
⚫︎狭心症
◯禁忌
⚫︎心原性ショック
◯妊婦
⚫︎妊娠20週以降は
治療上の有益性が危険性を上回る場合のみ
◯服薬指導
⚫︎かまずに服用
血中濃度急上昇のおそれ
●ニフェジピン
(セパミットRcap・細粒・R細粒)
◯適応
⚫︎高血圧症
⚫︎狭心症
◯禁忌
⚫︎心原性ショック
⚫︎急性心筋梗塞(セパミット細粒のみ)
◯相互作用
⚫︎制酸剤
徐放性がなくなるため同時服用しない
服用間隔を十分空ける
◯妊婦
⚫︎妊娠20週以降は
治療上の有益性が危険性を上回る場合のみ
◯服薬指導
⚫︎かまずに服用
血中濃度急上昇のおそれ
◯保存
⚫︎細粒・R細粒は光で分解のため遮光保存
Ca2+チャネルのサブタイプによる作用
電位依存性Ca2+チャネル
細胞内外の電位差により細胞内にCa2+を流入させ、
細胞内Ca2+濃度を調節する
◆発現部位や機能によりL型・N型・T型に分類
◆DHP系Ca拮抗薬は主にL型に作用する
◆N型やT型への作用は、
反射性頻脈の軽減や腎保護作用が期待される
L型
◆高閾値活性型
◆活性化電位閾値が高く不活性化速度が遅い
◆骨格筋・平滑筋・心筋
脳・神経・内分泌組織・網膜などに発現
神経では神経終末ではなく神経細胞内に存在
DHP系Ca拮抗薬による作用
■血管平滑筋L型Ca2+チャネル遮断
→血管拡張・血圧低下
→反射性頻脈のリスク増加
■糸球体輸入細動脈L型Ca2+チャネル遮断
→糸球体輸入細動脈拡張
→腎臓の糸球体内圧上昇
N型
◆高閾値活性型
◆活性化電位閾値が高く不活性化速度は中等度
◆神経終末に発現
DHP系Ca拮抗薬による作用
■交感神経終末N型Ca2+チャンネル遮断
→NA分泌抑制
→反射性頻脈のリスク軽減
■腎臓の交感神経終末N型Ca2+チャンネル遮断
→糸球体輸入・輸出細動脈拡張
→腎臓の糸球体内圧上昇抑制
⚫︎シルニジピン(アテレック)
⚫︎ベニジピン(コニール)
T型
◆低閾値活性型
◆活性化電位閾値が低く不活性化速度が速い
◆脳・洞房結節・一部平滑筋に発現
DHP系Ca拮抗薬による作用
■洞結節T型Ca2+チャネル遮断
→心拍数低下
→反射性頻脈のリスク軽減
→心筋収縮には関与せず心保護作用も示す
■糸球体輸入・輸出細動脈T型Ca2+チャネル遮断
→糸球体輸入・輸出細動脈拡張
→腎臓の糸球体内圧上昇抑制
⚫︎アゼルニジピン(カルブロック)
⚫︎ベニジピン(コニール)
⚫︎エホニジピン(ランデル)
⚫︎ニルバジピン(ニバジール)
DHP系Ca拮抗薬による腎保護作用
◆糸球体輸入細動脈にはL型・T型が存在
◆糸球体輸出細動脈にはT型が存在
◆交感神経終末にはN型が存在
■L型のみ遮断
→輸入細動脈のみ拡張
→糸球体内圧は上昇
■L型に加えT型・N型も遮断
→輸入・輸出細動脈どちらも拡張
→糸球体内圧の上昇を抑制
→腎保護作用
おすすめ書籍
ポケット医薬品集
ポケット医薬品集 2023年版
添付文書情報だけでなく細かい+αも確認できる医薬品集。調剤にも服薬指導にも役に立つおすすめ書籍です。
薬がみえるシリーズ
薬がみえる vol.1
病態と薬物療法をつなげて知識をつけることができます。現場で働く薬剤師にも、薬剤師を目指す薬学生にもおすすめの書籍です。