硝酸薬
生体内で一酸化窒素NOを遊離する
NOは血管平滑筋を弛緩し全身性の血管拡張に働く
レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(RAA系)について確認したい場合はRAA系阻害薬①を参考にして下さい。
硝酸薬の作用機序
遊離したNOによる血管拡張作用
□NO遊離
体内でニトロ基-NO2が還元
一酸化窒素NOを遊離する
↓
□NOが血管平滑筋細胞へ作用
可溶性グアニル酸シクラーゼ(GC)活性化
↓
活性化GCにより
GTPからcGMPの産生促進
↓
cGMPにより
ミオシン軽鎖ホスファターゼ(MLCP)を活性化
↓
MLAPにより
ミオシン軽鎖の脱リン酸化促進
↓
アクチンとミオシンの滑走が起こらず
筋フィラメントの弛緩
↓
□血管平滑筋弛緩
↓
血管拡張
血流増加
グアニル酸シクラーゼ
細胞膜受容体と
細胞質に存在する可溶型が存在
◆細胞膜受容体型は
リガンドが受容体に結合することで活性化
◆可溶型は
細胞内に流入した一酸化窒素により活性化
◆一酸化窒素NO
血管内皮細胞より産生される生理活性物質
血管平滑筋細胞を弛緩し血管拡張に働く
硝酸薬の薬理作用
■心不全に対する作用
■抗狭心症作用
主作用は静脈拡張
動脈拡張や冠動脈拡張もおこる
心不全に対する作用
□NO遊離による血管平滑筋弛緩
↓
静脈拡張
↓
静脈に血液貯留
静脈からの血液還流量低下
↓
前負荷軽減
↓
心筋のO2需要低下
↓
心臓の負荷軽減
□NO遊離による血管平滑筋弛緩
↓
小動脈拡張
↓
末梢血管抵抗低下
↓
血圧低下
後負荷軽減
↓
心臓の負荷軽減
抗狭心症作用
□NO遊離による血管平滑筋弛緩
↓
静脈拡張による心負荷軽減
冠動脈拡張による冠血流・冠攣縮改善
↓
抗狭心症作用
硝酸薬の禁忌
⚫︎硝酸系薬に対する過敏症
⚫︎閉塞隅角緑内障
網膜血管拡張による眼圧上昇のおそれ
⚫︎重篤な低血圧・心原性ショック
血管拡張による血圧低下で症状悪化のおそれ
⚫︎頭部外傷・脳出血
頭蓋内圧上昇のおそれ
⚫︎高度貧血
末梢血管拡張により血流量不足
めまいや立ちくらみ等の貧血症状悪化のおそれ
硝酸薬の相互作用
cGMP産生促進による降圧作用増強に注意
⚫︎PDE5阻害薬
硝酸薬から遊離するNOによりcGMP産生促進
PDE5阻害によりcGMP分解抑制
cGMP増大を介して降圧作用増強のおそれ
⚫︎可溶性グアニル酸シクラーゼ刺激薬
リグシオアト(アダムパス)
硝酸薬も併用薬もcGMP産生促進
cGMP増大を介して降圧作用増強のおそれ
硝酸薬の副作用
⚫︎血管拡張による副作用
・頭痛
・顔面紅潮
⚫︎血圧低下による副作用
・めまい
・ふらつき
・動悸
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