循環器

硝酸薬②|ニトログリセリン・硝酸イソソルビド・一硝酸イソソルビド

硝酸薬

生体内で一酸化窒素NOを遊離する
NOは血管平滑筋を弛緩し全身性の血管拡張に働く

硝酸薬①|概要 硝酸薬 生体内で一酸化窒素NOを遊離するNOは血管平滑筋を弛緩し全身性の血管拡張に働く https://yaku-...

レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(RAA系)について確認したい場合はRAA系阻害薬①を参考にして下さい。

舌下錠

速効性
舌下投与
狭心症の発作緩解

⚫︎吸収が速く速効性がある
⚫︎作用持続時間は短い
⚫︎発作時に使用する
⚫︎座位で使用すること
 血圧低下によるたちくらみ・めまいのおそれ
⚫︎口腔内の乾燥で吸収されない
 水で口腔粘膜を湿らせてから使用
 薬を水で飲まないよう注意

スプレー剤

速効性
舌下投与
狭心症の発作緩解

⚫︎吸収が速く速効性がある
⚫︎作用持続時間は短い
⚫︎発作時に使用する
⚫︎舌下または口腔内に投与
 舌の裏側に向け一時息を止めて噴霧する
⚫︎座位で使用すること
 血圧低下によるたちくらみ・めまいのおそれ
⚫︎口腔内の乾燥で吸収されない
 水で口腔粘膜を湿らせてから使用

貼付剤

持続性
経皮投与
狭心症の発作予防

⚫︎吸収が悪く効果発現に時間がかかる
⚫︎作用持続時間が長い
⚫︎発作予防のため日常的に使用する
⚫︎胸部に貼る
 かぶれないよう毎回貼付位置をかえる
 AEDの電極パッド装着部位を避ける

内服薬

持続性
経口投与
狭心症の発作予防

⚫︎吸収が悪く効果発現に時間がかかる
⚫︎作用持続時間が長い
⚫︎発作予防のため日常的に使用する

注射剤

速効性
静注
不安定狭心症・心筋梗塞・急性心不全

⚫︎速効性があり用量調節が容易
⚫︎点滴や持続静注により作用を持続できる
⚫︎重症例に対して院内で使用する

硝酸薬

◯併用(共通)
⚫︎硝酸系薬に対する過敏症
⚫︎閉塞隅角緑内障
⚫︎重篤な低血圧・心原性ショック
⚫︎頭部外傷・脳出血
⚫︎高度貧血

◯併用禁忌(共通)
cGMP産生促進による降圧作用増強に注意
⚫︎PDE5阻害薬
 硝酸薬から遊離するNOによりcGMP産生促進
 PDE5阻害によりcGMP分解抑制
 cGMP増大を介して降圧作用増強のおそれ
⚫︎可溶性グアニル酸シクラーゼ刺激薬
 リグシオアト(アダムパス)
 硝酸薬も併用薬もcGMP産生促進
 cGMP増大を介して降圧作用増強のおそれ

◯副作用(共通)
⚫︎血管拡張による副作用
 頭痛・顔面紅潮
⚫︎血圧低下による副作用
 めまい・ふらつき
 動悸・頻脈
⚫︎スプレーによる副作用
 舌のしびれ・口腔内刺激
⚫︎テープによる副作用
 かぶれ・接触皮膚炎

◯使用上の注意(共通)
⚫︎起立性低血圧に注意
⚫︎過度の血圧低下
 下肢の挙上や昇圧剤投与等適切な措置を行う
⚫︎投与開始時は血管拡張による頭痛が起こりやすい
 初期の一過性頭痛は投与継続で緩和する
⚫︎連用時は急に中止しない
 症状悪化の報告あり
 休薬時は他剤との併用下で徐々に減量する
⚫︎車の運転・機械操作注意
 血管拡張による血圧低下
 注意力・集中力・反射能低下のおそれ

◯適応上の注意(共通)
⚫︎テープ
 皮膚刺激を避けるため毎回貼付部位を変える
 AEDの電極パッド装着部位を避ける
⚫︎スプレー
 火気に近づけて使用しないこと
 目など口以外に使用しないこと
 エタノール含有のためエタノール過敏に注意

◯保存(共通)
⚫︎スプレー
 40〜45℃以上の場所に保存しない
 高温(車中や60℃以上)で漏洩

ニトログリセリン

●ニトログリセリン
 (ニトロペン舌下錠)

◯適応
以下の一時的緩解
⚫︎狭心症
⚫︎心筋梗塞
⚫︎心臓喘息
⚫︎アカラジア

◯用法用量
⚫︎1〜2錠舌下投与
⚫︎狭心症発作
 数分で改善しなければ1〜2錠追加
 1回の発作で3錠目を使用しても、
 無効又は発作が15分以上続く場合直ちに受診

◯服薬指導
⚫︎舌下錠は座位で使用すること
 血圧低下によるめまい・失神のおそれ
⚫︎初回使用時は最初の数回は必ず1錠を投与する
 開始時は血管拡張による頭痛が起こりやすい
 一過性頭痛があっても投与継続で起こらなくなる
⚫︎効果のある錠剤は舌にピリピリ感じることがある

◯保存
⚫︎遮光保存

ニトログリセリン
 (ミオコールスプレー)
 舌下錠よりも効果発現が速い

◯適応
⚫︎狭心症発作の寛解

◯用法用量
⚫︎狭心症発作時
 1回1噴霧を舌下投与
 効果不十分時は1噴霧追加
 噴霧孔をできるだけ口へ近づける
 舌を上げ上あごにつけてから口を開ける
 息を止め舌下に向けて噴霧し口を閉じる
 このとき深く吸い込まないこと

◯服薬指導
⚫︎開封時6〜7回空噴霧を行う
 1ヶ月以上未使用時は数回空噴霧を行う
⚫︎用量を厳守すること
 過度な使用で急激な血圧低下のおそれ

ニトログリセリン
 (ニトロダームTTS バソレーターテープ
 ミニトロテープ メディトランステープ
 ミリステープ)

◯適応
⚫︎狭心症
⚫︎急性心不全(ミリステープのみ)

◯用法用量
ニトロダームTTS
バソレーターテープ
ミニトロテープ
メディトランステープ
⚫︎1日1回1枚を胸部・腰部・上腕部に貼付
 効果不十分の場合は2枚に増量

ミリステープ
⚫︎1回1枚、1日2回12時間毎に貼付
 胸部・上腹部・背部・上腕部・大腿部に貼付

◯その他の注意
ニトロダームTTS
⚫︎アルミ箔のため除細動やMRI時ははがす

ニトログリセリン
 (ミリスロール注)
 適応以外は添付文書を確認

◯適応
⚫︎手術時の低血圧維持
⚫︎手術時の異常高血圧の救急処置
⚫︎急性心不全
⚫︎不安定狭心症

ニトログリセリン
 (冠動注用ミリスロール注)
 適応以外は添付文書を確認

◯適応
⚫︎冠動脈造影時の冠攣縮緩解

硝酸イソソルビド

硝酸イソソルビド
 (ニトロール錠・Rcap)
 普通錠は狭心発作にも舌下で使用できる
 Rcapは徐放剤のため狭心発作には使用しない

◯適応
⚫︎狭心症
⚫︎心筋梗塞
⚫︎その他の虚血性心疾患

◯服薬指導
⚫︎Rcapはかまずに服用すること
 一過性の血中濃度上昇に伴う頭痛のおそれ

硝酸イソソルビド
 (ニトロールスプレー)

◯適応
⚫︎狭心症発作の寛解

◯用法用量
⚫︎狭心症発作時
 1回1噴霧を口腔内投与
 効果不十分時は1噴霧にかぎり追加
 噴霧口を口から約2cm以内まで近づける
 口を大きく開け息を止めて噴霧し口を閉じる
 深く吸い込まないよう注意

◯服薬指導
⚫︎開封時2〜3回空噴霧を行う
 3日以上未使用時は1回空噴霧を行う

硝酸イソソルビド
 (ニトロール注)
 適応以外は添付文書を確認

◯適応
⚫︎急性心不全
⚫︎不安定狭心症
⚫︎冠動脈造影時の冠攣縮緩解

硝酸イソソルビド
 (フランドル錠)
 徐放剤のため狭心発作には使用しない

◯適応
⚫︎狭心症
⚫︎心筋梗塞
⚫︎その他の虚血性心疾患

◯服薬指導
⚫︎かまずに服用すること
 一過性の血中濃度上昇に伴う頭痛のおそれ

硝酸イソソルビド
 (フランドルテープ)

◯適応
狭心症
心筋梗塞
その他の虚血性心疾患

◯用法用量
⚫︎1回1枚を24〜48時間毎に貼付
 胸部・上腹部・背部のいずれかに貼付する

一硝酸イソソルビド

一硝酸イソソルビド
 (アイトロール錠)
 非速効性のため狭心発作には使用しない

◯適応
⚫︎狭心症

ニトロプルシドNa水和物

ニトロプルシドNa水和物
 (ニトプロ注)
 主に血圧低下の目的で使用される
 適応以外は添付文書を確認

◯適応
⚫︎手術時の低血圧維持
⚫︎手術時の異常高血圧の救急処置
⚫︎急性心不全
⚫︎高血圧性緊急症

おすすめ書籍

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