硝酸薬
生体内で一酸化窒素NOを遊離する
NOは血管平滑筋を弛緩し全身性の血管拡張に働く
レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(RAA系)について確認したい場合はRAA系阻害薬①を参考にして下さい。
舌下錠
◆速効性
◆舌下投与
◆狭心症の発作緩解
⚫︎吸収が速く速効性がある
⚫︎作用持続時間は短い
⚫︎発作時に使用する
⚫︎座位で使用すること
血圧低下によるたちくらみ・めまいのおそれ
⚫︎口腔内の乾燥で吸収されない
水で口腔粘膜を湿らせてから使用
薬を水で飲まないよう注意
スプレー剤
◆速効性
◆舌下投与
◆狭心症の発作緩解
⚫︎吸収が速く速効性がある
⚫︎作用持続時間は短い
⚫︎発作時に使用する
⚫︎舌下または口腔内に投与
舌の裏側に向け一時息を止めて噴霧する
⚫︎座位で使用すること
血圧低下によるたちくらみ・めまいのおそれ
⚫︎口腔内の乾燥で吸収されない
水で口腔粘膜を湿らせてから使用
貼付剤
◆持続性
◆経皮投与
◆狭心症の発作予防
⚫︎吸収が悪く効果発現に時間がかかる
⚫︎作用持続時間が長い
⚫︎発作予防のため日常的に使用する
⚫︎胸部に貼る
かぶれないよう毎回貼付位置をかえる
AEDの電極パッド装着部位を避ける
内服薬
◆持続性
◆経口投与
◆狭心症の発作予防
⚫︎吸収が悪く効果発現に時間がかかる
⚫︎作用持続時間が長い
⚫︎発作予防のため日常的に使用する
注射剤
◆速効性
◆静注
◆不安定狭心症・心筋梗塞・急性心不全
⚫︎速効性があり用量調節が容易
⚫︎点滴や持続静注により作用を持続できる
⚫︎重症例に対して院内で使用する
硝酸薬
◯併用(共通)
⚫︎硝酸系薬に対する過敏症
⚫︎閉塞隅角緑内障
⚫︎重篤な低血圧・心原性ショック
⚫︎頭部外傷・脳出血
⚫︎高度貧血
◯併用禁忌(共通)
cGMP産生促進による降圧作用増強に注意
⚫︎PDE5阻害薬
硝酸薬から遊離するNOによりcGMP産生促進
PDE5阻害によりcGMP分解抑制
cGMP増大を介して降圧作用増強のおそれ
⚫︎可溶性グアニル酸シクラーゼ刺激薬
リグシオアト(アダムパス)
硝酸薬も併用薬もcGMP産生促進
cGMP増大を介して降圧作用増強のおそれ
◯副作用(共通)
⚫︎血管拡張による副作用
頭痛・顔面紅潮
⚫︎血圧低下による副作用
めまい・ふらつき
動悸・頻脈
⚫︎スプレーによる副作用
舌のしびれ・口腔内刺激
⚫︎テープによる副作用
かぶれ・接触皮膚炎
◯使用上の注意(共通)
⚫︎起立性低血圧に注意
⚫︎過度の血圧低下
下肢の挙上や昇圧剤投与等適切な措置を行う
⚫︎投与開始時は血管拡張による頭痛が起こりやすい
初期の一過性頭痛は投与継続で緩和する
⚫︎連用時は急に中止しない
症状悪化の報告あり
休薬時は他剤との併用下で徐々に減量する
⚫︎車の運転・機械操作注意
血管拡張による血圧低下
注意力・集中力・反射能低下のおそれ
◯適応上の注意(共通)
⚫︎テープ
皮膚刺激を避けるため毎回貼付部位を変える
AEDの電極パッド装着部位を避ける
⚫︎スプレー
火気に近づけて使用しないこと
目など口以外に使用しないこと
エタノール含有のためエタノール過敏に注意
◯保存(共通)
⚫︎スプレー
40〜45℃以上の場所に保存しない
高温(車中や60℃以上)で漏洩
ニトログリセリン
●ニトログリセリン
(ニトロペン舌下錠)
◯適応
以下の一時的緩解
⚫︎狭心症
⚫︎心筋梗塞
⚫︎心臓喘息
⚫︎アカラジア
◯用法用量
⚫︎1〜2錠舌下投与
⚫︎狭心症発作
数分で改善しなければ1〜2錠追加
1回の発作で3錠目を使用しても、
無効又は発作が15分以上続く場合直ちに受診
◯服薬指導
⚫︎舌下錠は座位で使用すること
血圧低下によるめまい・失神のおそれ
⚫︎初回使用時は最初の数回は必ず1錠を投与する
開始時は血管拡張による頭痛が起こりやすい
一過性頭痛があっても投与継続で起こらなくなる
⚫︎効果のある錠剤は舌にピリピリ感じることがある
◯保存
⚫︎遮光保存
●ニトログリセリン
(ミオコールスプレー)
舌下錠よりも効果発現が速い
◯適応
⚫︎狭心症発作の寛解
◯用法用量
⚫︎狭心症発作時
1回1噴霧を舌下投与
効果不十分時は1噴霧追加
噴霧孔をできるだけ口へ近づける
舌を上げ上あごにつけてから口を開ける
息を止め舌下に向けて噴霧し口を閉じる
このとき深く吸い込まないこと
◯服薬指導
⚫︎開封時6〜7回空噴霧を行う
1ヶ月以上未使用時は数回空噴霧を行う
⚫︎用量を厳守すること
過度な使用で急激な血圧低下のおそれ
●ニトログリセリン
(ニトロダームTTS バソレーターテープ
ミニトロテープ メディトランステープ
ミリステープ)
◯適応
⚫︎狭心症
⚫︎急性心不全(ミリステープのみ)
◯用法用量
ニトロダームTTS
バソレーターテープ
ミニトロテープ
メディトランステープ
⚫︎1日1回1枚を胸部・腰部・上腕部に貼付
効果不十分の場合は2枚に増量
ミリステープ
⚫︎1回1枚、1日2回12時間毎に貼付
胸部・上腹部・背部・上腕部・大腿部に貼付
◯その他の注意
ニトロダームTTS
⚫︎アルミ箔のため除細動やMRI時ははがす
●ニトログリセリン
(ミリスロール注)
適応以外は添付文書を確認
◯適応
⚫︎手術時の低血圧維持
⚫︎手術時の異常高血圧の救急処置
⚫︎急性心不全
⚫︎不安定狭心症
●ニトログリセリン
(冠動注用ミリスロール注)
適応以外は添付文書を確認
◯適応
⚫︎冠動脈造影時の冠攣縮緩解
硝酸イソソルビド
●硝酸イソソルビド
(ニトロール錠・Rcap)
普通錠は狭心発作にも舌下で使用できる
Rcapは徐放剤のため狭心発作には使用しない
◯適応
⚫︎狭心症
⚫︎心筋梗塞
⚫︎その他の虚血性心疾患
◯服薬指導
⚫︎Rcapはかまずに服用すること
一過性の血中濃度上昇に伴う頭痛のおそれ
●硝酸イソソルビド
(ニトロールスプレー)
◯適応
⚫︎狭心症発作の寛解
◯用法用量
⚫︎狭心症発作時
1回1噴霧を口腔内投与
効果不十分時は1噴霧にかぎり追加
噴霧口を口から約2cm以内まで近づける
口を大きく開け息を止めて噴霧し口を閉じる
深く吸い込まないよう注意
◯服薬指導
⚫︎開封時2〜3回空噴霧を行う
3日以上未使用時は1回空噴霧を行う
●硝酸イソソルビド
(ニトロール注)
適応以外は添付文書を確認
◯適応
⚫︎急性心不全
⚫︎不安定狭心症
⚫︎冠動脈造影時の冠攣縮緩解
●硝酸イソソルビド
(フランドル錠)
徐放剤のため狭心発作には使用しない
◯適応
⚫︎狭心症
⚫︎心筋梗塞
⚫︎その他の虚血性心疾患
◯服薬指導
⚫︎かまずに服用すること
一過性の血中濃度上昇に伴う頭痛のおそれ
●硝酸イソソルビド
(フランドルテープ)
◯適応
狭心症
心筋梗塞
その他の虚血性心疾患
◯用法用量
⚫︎1回1枚を24〜48時間毎に貼付
胸部・上腹部・背部のいずれかに貼付する
一硝酸イソソルビド
●一硝酸イソソルビド
(アイトロール錠)
非速効性のため狭心発作には使用しない
◯適応
⚫︎狭心症
ニトロプルシドNa水和物
●ニトロプルシドNa水和物
(ニトプロ注)
主に血圧低下の目的で使用される
適応以外は添付文書を確認
◯適応
⚫︎手術時の低血圧維持
⚫︎手術時の異常高血圧の救急処置
⚫︎急性心不全
⚫︎高血圧性緊急症
おすすめ書籍
ポケット医薬品集
ポケット医薬品集 2023年版
添付文書情報だけでなく細かい+αも確認できる医薬品集。調剤にも服薬指導にも役に立つおすすめ書籍です。
薬がみえるシリーズ
薬がみえる vol.1
病態と薬物療法をつなげて知識をつけることができます。現場で働く薬剤師にも、薬剤師を目指す薬学生にもおすすめの書籍です。