交感神経興奮薬
交感神経系の作用を促進する薬
◆直接型
直接アドレナリン受容体に作用する
受容体を刺激・活性化し細胞内反応を促進する
◆間接型
交感神経終末に作用する
シナプス間隙の内因性NAを増加
間接的に細胞内反応促進する
◆混合型
直接型と間接型の両方の作用機序をもつ
直接型交感神経興奮薬
直接アドレナリン受容体に作用する
受容体を刺激・活性化し細胞内反応を促進する
●α・β受容体刺激薬
●α1受容体刺激薬
●非選択的β受容体刺激薬
●β1受容体刺激薬
●β2受容体刺激薬
●β3受容体刺激薬
α・β受容体刺激薬
アドレナリン
副腎髄質ホルモン
副腎髄質クロム親和性細胞より分泌される
◆血液脳関門は通過しないため中枢作用は示さない
◆消化管で不活化されるため経口投与は無効
◆血管収縮・心臓刺激・気管支拡張の目的で使用
α1=β1=β2
■血管に対する作用
・α1刺激による血管平滑筋収縮
皮膚・粘膜・腹部内臓・腎血管・脳血管
・β2刺激による血管平滑筋弛緩
冠動脈・肺・骨格筋
■心臓対する作用
・β1刺激による心機能亢進
心筋β1による心収縮力上昇
洞結節β1による心拍数増加
■平滑筋に対する作用
・β2刺激による平滑筋弛緩
気管支平滑筋弛緩
子宮平滑筋弛緩
・α1刺激による瞳孔散大筋収縮
瞳孔散大筋収縮による散瞳
■代謝における作用
・肝臓β2刺激によるグリコーゲン分解促進
・脂肪組織β3刺激による脂肪分解促進
AD単独静注
β作用に比べα作用が強く現れる
血圧は上昇
α遮断薬投与後にAD投与
ADのα作用が現れずβ作用のみが現れる
血圧は下降
●アドレナリン
(ボスミン注)
◯適応
・心停止の補助治療
・急性低血圧・ショック時の補助治療
・気管支喘息・百日咳の気管支痙攣
・局所麻酔薬の作用延長
・手術時局所出血の予防と治療
・虹彩毛様体炎時における虹彩癒着の防止
●アドレナリン
(ボスミン外用液)
◯適応
・気管支喘息・百日咳の気管支痙攣
・局所麻酔薬の作用延長
・手術時局所出血の予防と治療
・耳鼻咽喉科領域の局所出血・粘膜充血・粘膜腫脹
・外創時の局所出血
●アドレナリン
(アドレナリン注)
◯適応
・心停止の補助治療
・急性低血圧・ショック時の補助治療
・気管支喘息・百日咳の気管支痙攣
●アドレナリン
(エピペン注)
◯適応
・蜂毒・食物・薬物によるアナフィラキシー反応
ノルアドレナリン
アドレナリン作動性神経伝達物質
副腎髄質にも存在するカテコールアミン
◆血液脳関門は通過しないため中枢作用は示さない
◆消化管で不活化されるため経口投与は無効
◆主に血管収縮の目的で使用
α1>β1>β2
■血管に対する作用
・α1刺激による血管平滑筋収縮
皮膚・粘膜・腹部内臓・腎血管・脳血管
※α1作用が強い
皮膚・粘膜などの血管収縮作用が強く現れる
α1刺激での血圧上昇で反射的に迷走神経活性化
→徐脈の副作用に注意
※β2作用は弱い
α遮断薬前処理での血圧反転は認められない
■心臓に対する作用
・β1作用が弱いため心機能亢進作用は弱い
■平滑筋に対する作用
・β2作用はほとんどなく平滑筋弛緩作用は示さない
●ノルアドレナリン
(ノルアドレナリン注)
◯適応
・急性低血圧・ショック時の補助治療
エチレフリン
●エチレフリン
(エホチール注)
β>α
α・β刺激作用をもつ
β刺激作用の方が強い
◯適応
・起立性低血圧
・急性低血圧・ショック時の補助治療
α1受容体刺激薬
α1受容体を選択的に刺激する
◆ADより作用は弱い
◆ADより作用持続時間は長い
◆COMTで代謝されないため
製剤によっては経口投与可能
循環器
■血管のα1受容体刺激
→血管平滑筋収縮
→血圧上昇
ミドドリン
●ミドドリン塩酸塩
(メトリジン錠)
◯適応
・本態性低血圧
・起立性低血圧
フェニレフリン
●フェニレフリン塩酸塩
(ネオシネジン注)
◯適応
・急性低血圧又はショック時の補助治療
・発作性上室頻拍
・局所麻酔時の作用延長
眼科
■血管のα1受容体刺激
→血管平滑筋収縮
→充血改善
■瞳孔のα1受容体刺激
→瞳孔散大筋収縮
→散瞳
フェニレフリン
●フェニレフリン塩酸塩
(ネオシネジン点眼)
◯適応
・診断または治療を目的とする散瞳
●フェニレフリン塩酸塩・トロピカミド
(ミドリンP点眼)
◯適応
・診断及び治療を目的とする散瞳・調節麻痺
トロピカミド
副交感神経遮断薬
眼底検査時に使用
散瞳させ広範囲の眼底を観察する
■瞳孔括約筋のM3受容体遮断
→瞳孔括約筋を弛緩させ散瞳する
■毛様体筋のM3受容体遮断
→毛様体筋を弛緩させ水晶体を薄くする
→遠視性調節麻痺を誘発
ナファゾリン
●ナファゾリン硝酸塩
(プリビナ点眼)
◯適応
・表在性充血
耳鼻科
■血管のα1受容体刺激
→鼻粘膜の血管平滑筋収縮
→鼻の充血をとることにより鼻閉を改善
ナファゾリン
●ナファゾリン硝酸塩
(プリビナ点鼻)
◯適応
・上気道の充血・うっ血
トラマゾリン
●トラマゾリン塩酸塩
(トラマゾリン点鼻)
◯適応
・鼻充血・うっ血
テトラヒドロゾリン
●テトラヒドロゾリン・プレドニゾロン
(コールタイジン点鼻)
◯適応
・鼻充血・うっ血
非選択的β受容体刺激薬
β1・β2受容体を非選択的に刺激する
◆イソプレナリンは合成カテコールアミン
◆喘息に使用する場合
β1作用による心臓への副作用に注意
■β1受容体刺激
心機能亢進作用
心筋β1による心収縮力上昇
洞結節β1による心拍数増加
■β2受容体刺激
平滑筋弛緩作用
気管支平滑筋弛緩
子宮平滑筋弛緩
イソプレナリン
●l-イソプレナリン塩酸塩
(プロタノールL注)
◯適応
・アダムス・ストークス症候群の発作時・発作反復時
・心筋梗塞や細菌内毒素等による急性心不全
・手術後の低心拍出量症候群
・気管支喘息の重症発作時
●dl-イソプレナリン塩酸塩
(プロタノールS錠)
◯適応
・高度の徐脈
・特にアダムス・ストークス症候群の発作防止
●dl-イソプレナリン塩酸塩
(イソメニールcap)
◯適応
・内耳障害に基づくめまい
●dl-イソプレナリン塩酸塩
(アスプール液)
◯適応
・気管支痙攣の緩解
イソクスプリン
●イソクスプリン塩酸塩
(ズファジラン錠・注)
◯適応
・末梢循環障害
・頭部外傷後遺症に伴う随伴症状
・子宮収縮の抑制(切迫流産・切迫早産)
・子宮収縮の抑制(過強陣痛)…注のみ
・月経困難症
トリメトキノール
●トリメトキノール塩酸塩
(イノリン錠・散・液・シ)
◯適応
次の気道閉塞性障害での諸症状
・気管支喘息…吸入液
・気管支喘息・慢性気管支炎・塵肺症…錠・散
・気管支喘息・気管支炎・喘息様気管支炎…シ
β1受容体刺激薬
β1受容体を選択的に刺激する
◆選択的にβ1を刺激し心臓に作用する
他臓器に与える影響や副作用が少ない
◆ドブタミンは合成カテコールアミン
静脈内投与で急性心不全に用いられる
◆デノパミンは非カテコールアミン
経口投与で慢性心不全に用いられる
■β1受容体刺激
心機能亢進作用
心筋β1による心収縮力上昇
洞結節β1による心拍数増加
ドブタミン
●ドブタミン
(ドブトレックス注)
◯適応
・急性循環不全における心収縮力増強
・心エコー図検査における負荷
デノパミン
●デノパミン
(カルグート錠・細)
◯適応
・慢性心不全
β2受容体刺激薬
β2受容体を選択的に刺激する
◆選択的にβ2を刺激する
β1作用による心臓系の副作用が少ない
■β2受容体刺激
平滑筋弛緩作用
気管支平滑筋弛緩
子宮平滑筋弛緩
子宮収縮薬
リトドリン
●リトドリン塩酸塩
(ウテメリン錠・注)
◯適応
・切迫流産・切迫早産(錠)
・緊急治療を必要とする切迫流産・切迫早産(注)
気管支拡張薬
短時間作用性β2刺激薬
サルブタモール
●サルブタモール硫酸塩
(サルタノールインヘラー)
◯適応
・発作発現時の諸症状緩解
・気管支喘息・小児喘息・肺気腫
・急性気管支炎・慢性気管支炎・肺結核
●サルブタモール硫酸塩
(サルブタモール錠)
◯適応
・気管支喘息・小児喘息・肺気腫
・急性気管支炎・慢性気管支炎・肺結核・珪肺結核
●サルブタモール硫酸塩
(ベネトリン吸入薬)
◯適応
・気管支喘息・小児喘息・肺気腫
・急性気管支炎・慢性気管支炎・肺結核
●サルブタモール硫酸塩
(サルブタモールシロップ)
◯適応
・気管支喘息・気管支炎・喘息様気管支炎
テルブタリン
●テルブタリン硫酸塩
(ブリカニール錠)
◯適応
・気管支喘息・慢性気管支炎・喘息性気管支炎
・気管支拡張症・肺気腫
●テルブタリン硫酸塩
(ブリカニールシロップ)
◯適応
・気管支喘息・急性気管支炎・喘息様気管支炎
フェノテロール
●フェノテロール臭化水素酸塩
(ベロテックエロゾル)
◯適応
・発作発現時の諸症状緩解
・気管支喘息・慢性気管支炎・肺気腫・じん肺症
●フェノテロール臭化水素酸塩
(フェノテロール小児用DS)
◯適応
・気管支喘息・喘息性気管支炎・急性気管支炎
プロカテロール
●プロカテロール塩酸塩
(メプチンエアー・キッドエアー・スイングヘラー)
◯適応
・発作発現時の諸症状緩解
・気管支喘息・慢性気管支炎・肺気腫
●プロカテロール塩酸塩
(メプチン吸入液)
◯適応
・気管支喘息・慢性気管支炎・肺気腫
●プロカテロール塩酸塩
(メプチン錠・顆粒・シ・DS)
◯適応
・気管支喘息・急性気管支炎・慢性気管支炎・肺気腫
・喘息様気管支炎(50μg錠は未承認)
長時間作用性β2刺激吸入薬
サルメテロール
●サルメテロールキシナホ酸塩
(セレベントディスカス)
◯適応
・気管支喘息
・慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎・肺気腫)
インダカテロール
●インダカテロールマレイン酸塩
(オンブレス吸入用cap)
◯適応
・慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎・肺気腫)
ホルモテロール
●ホルモテロールフマル酸塩
(オーキシスタービュヘイラー)
◯適応
・慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎、肺気腫)
長時間作用性β2刺激薬
クレンブテロール
●クレンブテロール塩酸塩
(スピロペント錠)
◯適応
・気管支喘息・慢性気管支炎・肺気腫・急性気管支炎
・腹圧性尿失禁
ツロブテロール
●ツロブテロール塩酸塩
(ホクナリン錠・DS ベラチン錠・DS)
◯適応
・気管支喘息・急性気管支炎・慢性気管支炎
・喘息性気管支炎・肺気腫・珪肺症・塵肺症
●ツロブテロール塩酸塩
(ホクナリンテープ)
◯適応
・気管支喘息・急性気管支炎・慢性気管支炎・肺気腫
β3受容体刺激薬
β3受容体を選択的に刺激する
◆過活動膀胱に使用される
◆抗コリン薬より効果は劣る
◆抗コリン薬の副作用である口渇・便秘が少ない
◆抗コリン薬とは作用機序が異なるため併用可
■β3受容体刺激
膀胱平滑筋(排尿筋)弛緩
→蓄尿機能改善
→過活動膀胱に効果あり
ビベグロン
●ビベグロン
(ベオーバ錠)
◯適応
・過活動膀胱における
・尿意切迫感・頻尿・切迫性尿失禁
ミラベグロン
●ミラベグロン
(ベタニス錠)
◯適応
・過活動膀胱における
・尿意切迫感・頻尿・切迫性尿失禁
参考書籍
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