自律神経

交感神経|交感神経抑制薬①アドレナリン受容体遮断薬

交感神経抑制薬

交感神経系の作用を抑制する薬

◆アドレナリン受容体遮断薬
 直接アドレナリン受容体に作用する
 NAやADに拮抗することで交感神経作用を抑制

◆アドレナリン作動性神経遮断薬
 交感神経終末に作用する
 シナプス間隙の内因性NAを減少
 NAの減少を介し間接的に交感神経作用を抑制

アドレナリン受容体遮断薬

直接アドレナリン受容体に作用する
NAやADに拮抗することで交感神経作用を抑制する

●α受容体遮断薬
●β受容体遮断薬
●αβ遮断薬

α受容体遮断薬

α受容体を遮断する

●非選択的α受容体遮断薬
 α1・α2受容体の両方を非選択的に遮断
●選択的α1受容体遮断薬
 α1受容体を選択的に遮断する

α1受容体遮断作用

血管
 血管平滑筋弛緩

泌尿器
 内尿道括約筋弛緩
 前立腺平滑筋弛緩

α1受容体サブタイプ
 α1A・α1B・α1Dに細分類される
 α1Bは主に血管平滑筋に発現
 α1A・α1Dは主に泌尿器の平滑筋に発現

α2受容体遮断作用

交感神経終末
 NA分泌抑制作用遮断
 シナプス間隙へのNA分泌増加

非選択的α受容体遮断薬

α1・α2受容体の両方を非選択的に遮断する
主に血圧低下を目的として使用

血管のα1受容体遮断
 →血管平滑筋弛緩
 →血管拡張・血圧低下

交感神経終末のα2受容体遮断
 →NA分泌抑制作用が遮断
 →増加したNAによる心臓のβ1刺激
 →心機能亢進(副作用)

フェントラミン

●フェントラミンメシル酸塩
 (レギチーン注)

◯適応
・褐色細胞腫の診断
・褐色細胞腫の術前・術中の血圧調整

非選択的α遮断薬における
α2遮断による影響


交感神経終末のα2受容体遮断
 NA分泌抑制作用が遮断
 シナプス間隙へのNA分泌増加
  ↓   α1受容体が遮断されていると…
 NAによるα1作用は現れない
 遮断されていないβ1作用が現れる
  ↓
 心機能亢進
 頻脈・α1遮断による降圧効果減弱
  ↓
 高血圧には選択的α1遮断薬の方が
 適するとされる

選択的α1受容体遮断薬

α1受容体を選択的に遮断する
主に血圧低下・排尿障害改善を目的として使用

血管のα1受容体遮断
 →血管平滑筋弛緩
 →血管拡張・血圧低下

泌尿器のα1受容体遮断
 →内尿道括約筋・前立腺平滑筋弛緩
 →排尿障害改善

ブナゾシン

ブナゾシン塩酸塩
 (デタントール錠・R錠・点眼)
 α1A・α1B・α1D選択性
 眼房水流出促進による眼圧下降作用あり

◯適応
・高血圧症
・緑内障・高眼圧症(点眼)

ドキサゾシン

ドキサゾシンメシル酸塩
 (カルデナリン錠・OD錠)
 α1A・α1B・α1D選択性

◯適応
・高血圧症

テラゾシン

テラゾシン塩酸塩水和物
 (バソメット錠)
 α1A・α1B・α1D選択性

適応
・高血圧症
・前立腺肥大症に伴う排尿障害

ウラピジル

ウラピジル
 (エブランチルcap)
 α1A・α1B・α1D選択性

◯適応
・高血圧症
・前立腺肥大症に伴う排尿障害
・神経因性膀胱に伴う排尿困難

プラゾシン

プラゾシン塩酸塩
 (ミニプレス錠)
 α1A・α1B・α1D選択性

◯適応
・高血圧症
・前立腺肥大症に伴う排尿障害

タムスロシン

タムスロシン塩酸塩
 (ハルナールD錠)
 α1A・α1D選択性

◯適応
・前立腺肥大症に伴う排尿障害

シロドシン

シロドシン
 (ユリーフ錠・OD錠)
 α1A選択性

◯適応
・前立腺肥大症に伴う排尿障害

ナフトピジル

ナフトピジル
 (フリバス錠・OD錠)
 α1A・α1D選択性

◯適応
・前立腺肥大症に伴う排尿障害

β受容体遮断薬

β受容体を遮断する

●非選択的β受容体遮断薬
 β1・β2受容体の両方を非選択的に遮断する
●選択的β1受容体遮断薬
 β1受容体を選択的に遮断する

β1受容体遮断作用

心臓
 心機能抑制

腎臓の傍糸球体細胞
 レニン分泌抑制

β2受容体遮断作用

平滑筋
 血管平滑筋収縮
 気管支平滑筋収縮
 子宮平滑筋収縮

肝臓の肝細胞
 グリコーゲン分解抑制

膵臓のB細胞
 インスリン分泌抑制

骨格筋
 振戦抑制

内因性交感神経刺激作用(ISA)

β受容体を弱いながらも刺激する作用
弱いβ刺激作用により心機能抑制が緩和になる

・カルテオロール(ミケラン)
・セリプロロール(セレクトール)
・ラベタロール(トランデート) など

膜安定化作用(MSA)

細胞膜のNa+チャネル遮断作用
細胞内外の電位変化を抑制する
刺激伝導の興奮を抑制する抗不整脈薬様作用

・プロプラノロール(インデラル)
・メトプロロール(セロケン)
・ラベタロール(トランデート) など

非選択的β受容体遮断薬

β1・β2受容体の両方を非選択的に遮断する
β2遮断による気管支平滑筋収縮に注意

心臓のβ1受容体遮断
 →心機能抑制

気管支のβ2受容体遮断
 →気管支平滑筋収縮(副作用)

骨格筋のβ2受容体遮断
 →振戦抑制

毛様体のβ受容体遮断
 →房水産生抑制
 →眼圧低下

β1β2遮断・ISA-

プロプラノロール

プロプラノロール塩酸塩
 (インデラル錠・注)
 MSA+

◯適応
・高血圧症
・不整脈
・狭心症
・偏頭痛の発作予防(内服のみ)

ニプラジロール

ニプラジロール
 (ハイパジール錠・点眼)

◯適応
・高血圧症
・不整脈
・狭心症
・緑内障・高眼圧症(点眼)

ナドロール

ナドロール
 (ナディック錠)

◯適応
・高血圧症
・不整脈
・狭心症

ブフェトロール

ブフェトロール塩酸塩
 (アドビオール錠)

◯適応
・不整脈
・狭心症

β1β2遮断・ISA+

カルテオロール

●カルテオロール塩酸塩
 (ミケラン錠・LAcap・細・点眼)

◯適応
・高血圧症(細は未承認)
・不整脈(LAcapは未承認)
・狭心症(LAcapは未承認)
・ファロー四徴症に伴うチアノーゼ発作(小児用細のみ)
・緑内障・高眼圧症(点眼)

ピンドロール

●ピンドロール
 (カルビスケン錠)

◯適応
・高血圧症
・不整脈
・狭心症

チモロール

チモロールマレイン酸塩
 (チモプトール点眼 リズモン点眼)

◯適応
・緑内障・高眼圧症

選択的β1受容体遮断薬

β1受容体を選択的に遮断する
β2遮断による気管支への影響が少ない

心臓のβ1受容体遮断
 →心機能抑制

β1遮断・ISA-

アテノロール

アテノロール
 (テノーミン錠)

◯適応
・高血圧症
・不整脈
・狭心症

ビソプロロール

ビソプロロールフマル酸塩
 (メインテート錠)

ビソプロロール
 (ビソノテープ)

◯適応
・高血圧症
・不整脈
・狭心症(内服のみ)
・慢性心不全(内服のみ)

メトプロロール

メトプロロール酒石酸塩
 (セロケン錠・L錠 ロプレソール錠・SR錠)
 MSA+

◯適応
・高血圧症
・不整脈(徐放錠は未承認)
・狭心症(徐放錠は未承認)

ベタキソロール

ベタキソロール塩酸塩
 (ケルロング錠)

◯適応
・高血圧症
・狭心症

ランジオロール

ランジオロール塩酸塩
 (オノアクト注)
 短時間作用型
 手術時の上室性不整脈の緊急処置に使用される

β1遮断・ISA+

セリプロロール

セリプロロール塩酸塩
 (セレクトール錠)

◯適応
・高血圧症
・狭心症

エスモロール

エスモロール塩酸塩
 (ブレビブロック注)
 短時間作用型
 手術時の上室性不整脈の緊急処置に使用される

αβ受容体遮断薬

α・β受容体の両方を遮断する

◆α受容体サブタイプへはα1選択性
◆β受容体サブタイプへはβ1・β2非選択性

血管のα1受容体遮断
 →血管平滑筋弛緩
 →血管拡張・血圧低下

心臓のβ1受容体遮断
 →心機能抑制

気管支のβ2受容体遮断
 →気管支平滑筋収縮(副作用)

骨格筋のβ2受容体遮断
 →振戦抑制

アロチノロール

アロチノロール塩酸塩
 (アロチノロール塩酸塩錠)

◯適応
・高血圧症
・狭心症
・頻脈性不整脈
・本態性振戦

カルベジロール

カルベジロール
 (アーチスト錠)

◯適応
・高血圧症
・狭心症
・頻脈性不整脈
・慢性心不全

アモスラロール

アモスラロール塩酸塩
 (ローガン錠)

◯適応
・高血圧症

ラベタロール

ラベタロール塩酸塩
 (トランデート錠)
 ISA作用・MSA作用あり

◯適応
・高血圧症

ベバントロール

●ベバントロール塩酸塩
 (カルバン錠)
 β遮断作用はβ1選択性

◯適応
・高血圧症

参考書籍

ポケット医薬品集

ポケット医薬品集 2023年版
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薬がみえるシリーズ

薬がみえる vol.1
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