交感神経興奮薬
交感神経系の作用を促進する薬
◆直接型
直接アドレナリン受容体に作用する
受容体を刺激・活性化し細胞内反応を促進する
◆間接型
交感神経終末に作用する
シナプス間隙の内因性NAを増加
間接的に細胞内反応を促進する
◆混合型
直接型と間接型の両方の作用機序をもつ
間接型交感神経興奮薬
交感神経終末に作用する
シナプス間隙の内因性NAを増加
間接的に細胞内反応を促進する
アンフェタミン・メタンフェタミン
シナプス間隙のNA増加作用をもつ
◆末梢交感神経終末だけでなく中枢神経にも作用
◆大脳皮質興奮作用をもつため覚醒剤に分類される
◆実際に治療目的で使用されることは少ない
■末梢の交感神経シナプス間隙のNA増加
交感神経終末からのNA遊離促進
交感神経終末へのNA再取込阻害
MAO阻害による神経終末でのNA分解抑制
→α1刺激による血圧上昇
β1刺激による心機能亢進
■中枢のノルアドレナリン作動性神経終末に作用
中枢のドパミン作動性神経終末に作用
→中枢神経興奮作用
■タキフィラキシーを生じる
短時間反復投与で薬物の効果が低下する現象
シナプス前ニューロンの貯蔵物質が枯渇
シナプス伝達が低下する
●アンフェタミン/フェニルアミノプロパン
覚醒剤に指定
日本では医薬品としての承認はない
●メタンフェタミン/フェニルメチルアミノプロパン
(ヒロポン錠)
アンフェタミンのメチル誘導体
覚醒剤に指定
医薬品としては許可のある医師のみ施用可能
◯適応
・ナルコレプシー
昏睡・嗜眠・もうろう状態
インスリンショック
うつ病・うつ状態
統合失調症の遅鈍症の改善
・手術中・手術後の虚脱状態からの回復促進
麻酔からの覚醒促進
・麻酔剤の急性中毒の改善
睡眠剤の急性中毒の改善
アメジニウム
シナプス間隙のNA増加作用をもつ
◆交感神経機能を亢進させ血圧上昇を目的に使用
◆末梢交感神経終末に作用
◆中枢神経系への移行は極めて低い
■交感神経シナプス間隙のNA増加
MAO阻害による神経終末でのNA分解抑制
交感神経終末へのNA再取込阻害
→交感神経作用が亢進
→血圧上昇
●アメジニウムメチル硫酸塩
(リズミック錠)
◯適応
・本態性低血圧
・起立性低血圧
・透析施行時の血圧低下の改善
チラミン
◆様々な食品に含有される食餌性アミン
◆交感神経終末にてNA分泌促進作用をもつ
◆チラミンを多く含む食品
チーズ・赤ワインなどの発酵食品
チョコレート・ココアなどのカカオ製品
にしん・レバーなど
■モノアミントランスポーターにより
交感神経終末に取り込まれる
→NAの分泌促進
→交感神経機能亢進
■通常のチラミン摂取
腸管・肝臓のMAOにより分解される
NA分泌促進作用は現れない
■MAO阻害薬服用中のチラミン摂取
交感神経終末に取り込まれたチラミンは、
MAOにより分解されず神経終末に残る
→NA分泌促進により交感神経機能亢進
→高血圧発作のおそれ
混合型交感神経興奮薬
直接型と間接型の両方の作用機序をもつ
エフェドリン・メチルエフェドリン
β受容体刺激作用とNA分泌促進作用をもつ
◆エフェドリンは
麻黄に含まれるアルカロイド
◆メチルエフェドリンは
エフェドリンのアミノ基にメチル基が入った誘導体
◆生体膜透過性が高くCOMTやMAOで分解されない
→経口投与が可能・作用持続時間が長い
◆血液脳関門を通過する
→中枢興奮作用も示す
■直接作用
□β1受容体刺激
心機能亢進作用
心筋β1による心収縮力上昇
洞結節β1による心拍数増加
□β2受容体刺激
平滑筋弛緩作用
気管支平滑筋弛緩
■間接作用
□交感神経終末からのNA遊離促進
α1受容体刺激
→血管平滑筋収縮
→血圧上昇・充血改善
□タキフィラキシーを生じる
短時間反復投与で薬物の効果が低下する現象
シナプス前ニューロンの貯蔵物質が枯渇
シナプス伝達が低下する
■中枢作用
中枢興奮作用
中枢性鎮咳作用
●エフェドリン塩酸塩
(エフェドリン錠・注)
◯適応
・気管支喘息・喘息性気管支炎・感冒
急性気管支炎・慢性気管支炎
肺結核・上気道炎(咽喉頭炎・鼻カタル)
・鼻粘膜充血・鼻粘膜腫脹
・麻酔時の血圧降下(注のみ)
●dl-メチルエフェドリン塩酸塩
(メチエフ散・注)
◯適応
・気管支喘息・感冒・急性気管支炎・慢性気管支炎
肺結核・上気道炎(咽喉頭炎・鼻カタル)
・蕁麻疹・湿疹
ドパミン・ドカルパミン
アドレナリンα1・β1受容体刺激作用
ドパミンD1受容体刺激作用
ノルアドレナリン分泌促進作用
◆ドパミン
カテコールアミン
中枢神経系の神経伝達物質
作用持続時間短い・経口投与無効
持続点滴静注にて投与する
◆ドカルパミン
非カテコールアミン
ドパミンのプロドラッグ
経口投与で持続的効果を示す
ドパミン注やドブタミン注から内服へ
早期離脱を必要とする場合に用いる
■直接作用
末梢組織での
アドレナリンα1・β1受容体刺激
ドパミンD1受容体刺激作用
■間接作用
大量で交感神経終末からのNAd遊離促進
■用量によって異なる作用を示す
□低用量
D1受容体刺激
腎臓・腸管膜・冠動脈の血管拡張
→血流増加
腎血流増加による利尿作用
□中用量
β1受容体刺激
心機能亢進
→心筋β1による心収縮力上昇
洞結節β1による心拍数増加
□高用量
α1受容体刺激
血管平滑筋収縮
→血圧上昇
ドパミン製剤の中枢作用
◆ドパミンは血液脳関門BBBを通過しない
薬剤投与では中枢神経系への作用はない
(中枢神経系の神経伝達物質は内因性ドパミン)
◆中枢神経系のへのドパミン作用を目的とする場合
BBBを通過する前駆体であるレボドパを使用する
●ドパミン塩酸塩
(イノバン注)
◯適応
・急性循環不全(心原性ショック・出血性ショック)
●ドカルパミン
(タナドーパ顆粒)
◯適応
・ドパミン注・ドブタミン注から離脱困難な循環不全
・経口剤への早期離脱を必要とする場合
参考書籍
ポケット医薬品集
ポケット医薬品集 2023年版
添付文書情報だけでなく細かい+αも確認できる医薬品集。調剤にも服薬指導にも役に立つおすすめ書籍です。
薬がみえるシリーズ
薬がみえる vol.1
病態と薬物療法をつなげて知識をつけることができます。現場で働く薬剤師にも、薬剤師を目指す薬学生にもおすすめの書籍です。