高K血症
血清K濃度>5.5mEq/L
細胞膜の興奮性の異常をおこす
心伝導障害、神経・筋障害を呈する
◆Kは細胞内液に多く存在
・細胞の静止膜電位の維持
・筋肉の収縮・弛緩
・神経伝達
に関与する
◆主な初期症状
吐き気
脱力感
動悸
◆主な原因医薬品
K保持性利尿薬
ACE阻害薬
ARB
レニン阻害薬
報告医薬品
●K保持性利尿薬
(ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬)
●K保持性利尿薬
(上皮型Na+チャネル遮断薬)
●ACE阻害薬
●ARB
●レニン阻害薬(アリスキレン)
●NSAIDs(特にインドメタシン)
●シクロスポリン
●タクロリムス
●ST合剤
●ナファモスタット
など
症状
◆軽度では無症状であることが多い
◆神経・筋症状
軽度では筋肉の攣縮やビリビリした異常感覚
重度で脱力や四肢麻痺などが出現する
脱力・筋力低下
弛緩性麻痺
低喚起(呼吸筋麻痺)
下痢
◆心伝導障害
不整脈・心室細動
徐脈・心静止
発生機序
●K保持性利尿薬(ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬)
ミネラルコルチコイド受容体拮抗作用
→アルドステロン作用を抑制
→Na+再吸収・K+分泌が低下
→高K血症となる
●K保持性利尿薬(上皮型Na+チャネル遮断薬)
尿細管腔側の上皮型Na+チャネル遮断作用
→間接的にK+分泌が低下
→高K血症となる
●ACE阻害薬
●ARB
●レニン阻害薬(アリスキレン)
RAA系阻害薬
アンジオテンシンⅡ産生抑制
アンジオテンシンⅡ受容体拮抗
→副腎皮質球状層からアルドステロン分泌抑制
→腎でのNa+再吸収・K+排泄抑制
→高K血症となる
●NSAIDs(特にインドメタシン)
●シクロスポリン
●タクロリムス
レニン産生阻害作用
→アンジオテンシンⅡ産生抑制
→副腎皮質球状層からアルドステロン分泌抑制
→腎でのNa+再吸収・K+排泄抑制
→高K血症となる
●ST合剤
●ナファモスタット
尿細管腔側の上皮型Na+チャネル遮断作用
→間接的にK+分泌が低下
→高K血症となる
治療方法
◆原因薬を中止し重症度に応じて対処する
◆軽度
血清K濃度6mEq/L未満
心電図異常なし
・ループ利尿薬投与
腎機能が正常であればK排泄を促進
脱水があれば生理食塩水を併用
・ポリスチレンスルホン酸Na投与
陽イオン交換樹脂
Kの糞便排泄を促進
◆中等度〜重度
・血清K濃度が6~6.5mEq/Lの場合
早急な対応が必要
・血清K濃度が6.5mEq/Lを上回っている場合
より積極的な治療が必要
・インスリン投与
Kの細胞内移行を促進
低血糖を防ぐためブドウ糖と併用
・β2刺激薬の吸入投与
Kの細胞内移行を促進
・血液透析
血液浄化によるKの体外排泄
◆超緊急処置
致死的不整脈予防のためCa製剤投与
Ca製剤投与による心筋興奮の抑制
血清K濃度低下作用はないため、
続いて症状に応じてK排泄も対処する
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